Gift 6-2・・・・・from「Gift」 |
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サンタの手を引いておはなし室を出ると、後ろから堂上が追い付いてきた。倉庫にいた二人の連行と保護者への説明、その間の子供たちの移動は館員や今日配置されている防衛員にまかせるのだろう。 館内を歩くサンタにクリスマス会に参加していなかった子供たちが早速寄ってくるが、「サンタさんはもう次のところに行かなくちゃいけないのよ」と言いながらなんとか振り切って、館員しか入れないバックオフィスへの通用口へ向かう。と、そのドアの前に柴崎が立っていた。 「あれ? 柴崎、どうして」 思わず声をあげた郁に柴崎はため息をもらした。 「まったく、いくらタスクフォースだからって公休日の人間を駆り出すとは思わなかったわ」 その柴崎の言葉に、サンタがびくりと反応した。 「タスクフォース?」 おどおどと漏らした声に、柴崎がにやりと笑ってみせた。 「その二人ともね。女だからってなめてたら痛い目にあうわよ、あんた」 言われてサンタが横でその手をとる──確保する郁と、反対側の斜め後ろをふさぐ堂上を振り返った。そして、柴崎がIDカードを通して開けたドアを通ってバックオフィスの通路に入ったところで、がくりと膝をついた。 「なめたりなんて……俺にはできません。俺は、あんなとこで笑えません。この人は、すごいです……」 そう言うなり床に突っ伏して「すみません」と小さく漏らした。その背中を苦い思いで見下ろす郁の横で、堂上がサンタの白い袋を取り上げた。お菓子をすべて配り終わって空っぽのはずのそれは、しかし明らかに持ち重りがして見えて、そして口を開けてみれば、果たして数個の財布が無造作に突っ込まれていた。 「証拠物件です。このまま警察へ」 通路で待機していた防衛員に袋を渡す。受け取った防衛員が「休みのところを悪かったな」と返したところを見ると、彼が堂上に指示を出した班長なのだろう。 「ほら、立て」と彼に引っ張りあげられたサンタは今やボロボロに泣き崩れていた。その彼に郁は向き直った。 「謝るのはあたしたちに対してじゃないでしょ。あなたは、しかるべき罰を受けなくちゃいけない。……でも、」 そこまで言って、郁は息をついた。こんなこと言うべきではないのかもしれない。でも、それでも。郁はあらためてサンタをまっすぐに見つめた。 「最後までサンタでいてくれてありがとう」 せめて子供たちの前では崩折れずに立っていてくれて。 きっと、子供たちの笑顔が、お礼を言う明るい声が、彼への一番の罰になったのだと──そうであってほしいと、郁は思った。 郁の言葉にサンタは一瞬目を丸くし、そして再びくしゃりと顔を歪めると、ぺこりと頭を下げ、防衛員に腕を確保されて通路の奥へ歩いて行った。 それを、自分の方こそ痛みに傷ついた顔で見送る郁に、「まったく、お人好しにも程があるわ、あんた」と柴崎がまたため息をついた。 |
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