叫ぶ、指。 1

・・・・・from「MRI」

「堂上二正、動けるようになったのなら復帰してもいいけど、少しでもおかしいと思ったらすぐここに戻りなさい。もし最後まで行けたとしても、状況が片付いたら直行で医務室に来なさい。わかってると思うけど、事務室に戻らないで直行だよ。装備もそのままでいいから。君、事務室に戻るとそのまま仕事始めちゃって来ないでしょ。いいね、必ずだよ」
 呼び止められた堂上に何を言い返す隙も与えずに一気にそれだけ言い述べると、彼はさっさと行ってしまった。
 数年ぶりに戦闘中の事故で失神した堂上が運び込まれた救護テントでの一幕である。
 意識を失っていたのはせいぜい十分程度だったが、意識を取り戻した堂上が前線に復帰すべく立ち上がり、テントを出ようとしたところで医官につかまった──と思ったら、あれだけのセリフを一気にまくしたてられたのだった。
 あまりに一方的に言われっぱなしだった堂上は、視界から彼の背中が消えたところでようやくため息をついた。
 呼び出された用件の見当はついている。
 なにもこの忙しい時期に……くそっ。
 己の迂闊を呪うが、起きてしまったことは取り返せない。もう一度小さく息を吐き出すと、堂上は今度こそ仲間の待つ塹壕へと走り出した。


>> 2


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